明けましておめでとうございます。
えー、新年の清々しい気分に水を差すようで申し訳ないのですが、とりあえず遅ればせながら2007年を振り返らせて頂きます。
本当に遅れてしまったのは仕方ないのです。実生活の都合と後ろ向きの姿勢を恥とも思わない管理人が全て悪いのです。
さて、そんなこんなで2007年の四大少年誌&ガンガン&アフタヌーン&スクエアを振り返りましょうか。
というわけで表題通り各誌の2007年を振り返って2008年はどうなるのか身勝手に考えてみる。
新連載作品や終了作品の具合、企画などから見て取れる雑誌の方針、メディアミックスの状態など、参考媒体は様々。
…なお、あくまで
管理人の主観による部分が非常に大きいという事をお忘れなく。
あとところどころに“今年”という記述が見られるのは2007年の事です。途中まで2007年中に書いてたものなのでそのまま統一しました。
それでは前置きが長くなるのもアレなので早速参りましょう。一番手は皆大好きなあの雑誌から!
週刊少年ジャンプ今年も様々な連載が始まり様々な連載が終わったが、恐ろしい事に誌面は大して昨年の今頃と比較しても変化無いんだよなあ…。
総合して「ラルΩグラド」の大プッシュに始まり「P2!」の不可解エンドで終わった年だったという事になるけど、
やろうと思えばもうこの2作だけで今年のジャンプの問題点は全て説明出来るだろう。…勿論、流石にそんな窮屈な理論展開はしたくないけど。
もう何度も言ってきた気はするが、やはり上位連載陣があまりにも長期化しすぎ、更にはその長期化した連載が多くなりすぎ、
遂には雑誌を圧迫し始めるほどにまでその閉塞感が高まってきた事が最大の問題。そしてこれは2006年辺りから問題になってきた事である上に
2007年が終わる現在でも改善の兆しが見られないどころかより悪化の一途を辿りつつあるというまさに泥沼な状態にある。
バンバンアニメ化するのは確かに商業的効果の高さの面からも一概に悪とする事は出来ないけど
アンケート至上主義だとそれは作品への大きなアドバンテージになってしまうわけだから平等な競争も出来なくなるのでありましてね…。
人気の安定している長期連載を手放したくないのは当然としてもその長期連載が2年後も今同様の活躍を出来るかと言えばそうでもないわけで、
その2年後を見据えた新たなる看板候補作の育成を自ら手放した誌面作りになっていると言わざるを得ない。
……尤も、誌面状況にかかわらず今年の新連載が不発続きだった事が何よりもの問題ではあろうが。
しかもそんな折に「ラルΩグラド」をまるで看板作品のようにプッシュしては効果を上げられず打ち切りにするなど、
編集部自体が新人に対して生き残りづらい状況を作っては玉砕するという目を覆いたくなるような光景もあったりしたもので…。
今思うとあれには新人が看板になってくれないのならもう編集部が作ってしまえという一種の新人への見切りを感じさせるものもあったが、
結果的には自らが招いた閉塞した状況を痛感する事になってしまったと。…そう考えると何とも皮肉なものがあるなあ…。
しかしそれが「良い薬」になってくれれば良かったものの残念ながら懲りなかったようで、
再び「ムヒョ」と「P2!」で更なる暴挙を繰り返す事になる。どちらもここでは多くは語らないが
余裕を持たされたが故の悲劇と余裕を持たされなかったが故の悲劇という対照的な2つの例になっていると思う。
終われるタイミングなのに終わらない漫画もあれば表紙にまで登場させて打ち切られる漫画もあるんだものなあ…。
「終わり時」の間違え方について対極に位置するであろうこの2つの事件がそれぞれ同じ年に連続して起きたのも
ジャンプ編集部がそういう判断力を見失ってしまっているのではないかとしか考えられず、不安ばかりが募る。
打ち切り漫画を表紙にしたかと思えば今度は「ONE PIECE」で1年間背表紙を独占し続ける企画を打ち立てた事も
表紙・背表紙という雑誌の顔でもある場所をあまりにも軽視しすぎているのではないかと思え、編集部への不安感を増大させる。
ジャンプはグラビアが無い分だけ他誌よりも漫画作品を表紙で押し出しているのは事実だが、背表紙がただの背景ってのはいくら何でも…。
そんな暴挙企画と共に2008年のジャンプは歩みを進める。メディアミックスでは「ToLOVEる」アニメ化に注目が集まるが、
もう現行連載陣を見ても深夜枠以外でアニメ化出来そうなのはほとんど残っていない。「サムライうさぎ」と「SKET DANCE」という
奇しくもこの辛かった2007年を生き残った2作が数えられる程度だが、この2作がアニメになるまで生き残るかも正直疑わしいというのが現状。
2007年のメディアミックスで好調だったのは「武装錬金」に「DEATH NOTE」という既に終了した作品のアニメばかりで
どちらも雑誌への還元力を期待出来ない作品だったのでそろそろ現行連載陣で新たな決定打を放ちたいところだろう。
安定している「D.Gray-man」や不安定ながら爆発力のある「リボーン」などもアニメ化としては決して失敗ではないのだけれど…。
あと、「BLEACH」の劇場版進出もジャンプアニメ全体を考えると特筆すべき出来事か。
今年のジャンプは下の補強にはことごとく失敗してはいたものの、上の更なる充実に関しては見事成功を収めていたと言って良いのかな。
……まあそれが結局更に下の層を圧迫している事にも繋がるので手放しには喜べないのだが…。
ともかく中位以上が動いてくれない以上、やはり期待してしまうのはこの停滞すらものともせず
一気に上まで駆け上がるような圧倒的ジョーカーの登場。我々は求めているのだ、変化を!!下克上を!!
長期連載陣の中では「テニスの王子様」が終わりそうなくらいで未だに見通しは明るくない。…不安しか抱けない年になるなあ…。
一応トレジャー漫画賞の新設が唯一ながらジャンプなりの打開策という事になるのか…。
何だかんだで岩代先生の復活など個人的に嬉しい事もあったので何とか自分の予想とは裏腹の輝かしい2008年になってもらいたいものだが。
ジャンプスクエア2007年のジャンプを語る上で忘れてはならないのがこの雑誌の創刊。
2007年のジャンプ最大のニュースはどんな作品の開始でもどんな作品の終了でもなくこの雑誌の創刊なのだ。
下半期のジャンプ自体がこのスクエアの広告塔と化していたのを考えると上記のように
他の部分にてんで力が入っていなかったのも致し方ない事なのかもしれない。いや、当然本業を疎かにしちゃ駄目だけども。
そしてそれはそれはもう圧倒的な大宣伝で始まった。毎号毎号のジャンプでカラーページまで使ってその存在をアピールし、
和月伸宏先生にかずはじめ先生に神尾葉子先生に藤子・A・不二夫先生にと錚々たる顔ぶれを揃えて満を持しての新創刊!!
創刊号に続いて第2号も初版50刷が売り切れては更に10万部も増刷してもう売れに売れまくる!!スクエアの勢いが止まらないーー!!!
……なんて手放しに褒められれば良いんだけどなあ…。まだまだ「商業的成功」と言ったところで「本質的成功」とは言いがたい。
ビッグゲストを呼び寄せ続けて興味を引くという創刊号として至極正しい戦略に出ているのは確かだが、
さてこの雑誌がそのミーハー読者を繋ぎ止めておくだけの力を持っているのか?
少なくとも今の段階ではそんな力があるとは到底思えないが、とりあえずこれからの雑誌なのだしその成長には期待したいところ。
しかし色んなジャンルの作品がごった煮されたような一貫性の無い非常にカオスな誌面なのでこれがどうなるかだろうなあ…。
雑誌のカラーが定まると作品同士で連帯感が生まれ印象が良くなるという雑誌ならではのメリットが活きてくるので
それを活かせない状態なのは新創刊の雑誌としてマズい事態ではあると思う。このままカオスを高めてカオスを売りにしていくのか、
それとも人気の出た作品が何かによってそれを軸にした誌面へと迎合していくのか、それが分からない限りはまだ何とも言えないが…。
全体の印象としては創刊による新規参入組の勢いがまだ弱く、その新規参入組を旧月ジャン勢が引っ張ってやっているという感じ。
月ジャン潰して創刊した雑誌なのに旧月ジャン勢に支えられてるのってどうなんだとは思うが、そこは新規参入組のこれからに期待したい。
…とまあ色々書いたが、スクエアについてはちょっと思うところあったので後述の文章がメインになるかも。詳しくはまとめ部分に。
週刊少年マガジン2007年のマガジンは割と話数の若い作品が活躍を見せた年だった。
何と言っても「FAIRY TAIL」と「ダイヤのA」の2作が完全に雑誌の看板となるまでに台頭してきたのが大きく、
その他にも作品の出来や個人的な好みなどは別にして「エリアの騎士」「ヤンキー君とメガネちゃん」「花形」「スマッシュ!」
「ハンマーセッション!」「シバトラ」など、2006年に連載開始した作品(以下、“2006年組”と呼称)の活躍は本当にめざましかった。
何作かは2006年終了時にはもうお先真っ暗だろうと思えるくらい低調だったのにそこから見事に持ち直してくれた。
部数が更に落ち込み遂に200万部を割ったとの報せは聞いているが、自分としてはその報せがマガジンの暗い未来を暗示しているとは思わない。
むしろ「FAIRY TAIL」などがメディアミックスを始めた時、そのメディアミックスの出来次第では
ジャンプとマガジンの関係くらい一気にひっくり返ってもおかしくないとさえ思っている。それだけ2006年に蓄えた力は心強いのだ。
…しかし大豊作も大豊作だった2006年に比べると2007年の新連載作品が失敗続きでその勢いを持続させられなかったのは痛かったか。
まあ2006年組が台頭する反動で中堅が充実してきてしまい昨年ほど生存が容易ではなくなった事もあるだろうが、
それでも「GetBackers」「ジゴロ次五郎」「涼風」など長期連載はしっかり大団円で終了して枠に穴を作ってくれてはいたし、
そもそもその充実を編集部も理解しているのか新連載作品の数自体も2007年は圧倒的に少なかったので
この状況での打ち切りは実力不足以外の何物でも無いだろう。…具体的には「キス☆クラ」と「しろがねの鴉」…。
そして他の2007年組もかつての素晴らしい完成度から一転して終わり無き迷走を繰り広げる「妖怪のお医者さん」に
不可解なプッシュが続く「BLOODY MONDAY」と、少なくとも上半期に連載を始めた作品はお世辞にも褒められた出来の作品は存在しない。
下半期になると好調を極める「零」に長短ハッキリした作風ながら可能性を漂わす「Baby Steps」など見所ある作品は出てきてるのだけど…。
それと「BLOODY MONDAY」は流石にプッシュ具合が尋常ではないのでマガジンらしく裏で何か動いていそうだが、
2007年が終わっても遂にその尻尾は掴めなかった。作品本編よりもこの作品の置かれている状況の方が上質なサスペンスだ…。
というわけで新連載作品の収穫は弱かったが、今年のマガジンには忘れてはならない収穫がある。そう、メディアミックスである。
ここ数年、マガジンにとってメディアミックスは鬼門だった。お呼びがかからないのかメディアミックスの数自体が少ないのもあるが、
それ以上に問題なのはメディアミックスの成功率が圧倒的に低いのだ。「涼風」「ネギま」「エア・ギア」と繰り返されてきた悲劇!!
「ツバサ」が稀有な成功例になってはくれたがそれでも大手を上げての大成功と言える出来とまでは至らない。
このままではジャンプやサンデーの、一ツ橋グループの後塵を拝するだけとなってしまう!!
折角メディアミックス可能な2006年組が台頭してきている重要な時期にアニメ化で嫌なイメージがまとわりついてしまうのは非常にマズい!!
…と、そんな時だった。誰もが放送コードに縛られ失敗するだろうと半ば諦められていた作品がまさかの大成功を収めるのである。
いやもうそんな背景があるものだから「さよなら絶望先生」の大成功がマガジンにどれだけの恩恵をもたらしたかは計り知れない。
「Over Drive」や「ウミショー」も自分は全部観たというわけではないにしろ出来はそう悪くなかったのだが、
商業的な効果の弱さもあってやはり大成功とは言いがたいだろう。その点に関しても「絶望先生」は文句のつけようがない。
また、ドラマの方では「探偵学園Q」がまずまずの成果を上げたとか何とか。…まあこっちは自分は全く観てないので何とも言えないが。
しかし相変わらずマガジンはドラマで強さを見せ付けると思っていたら何をトチ狂ったのか「まほ……いや、もう何も言うまい。
ともかく「さよなら絶望先生」の成功でマガジン編集部が良い意味で味を占めてくれれば2006年組を中心としたメディアミックス戦略も
随分やりやすくなると思う。…と言っても「ダイヤのA」など、マガジンらしくメディアミックスしないまま終了しそうな作品も多いのだが。
そして新人に読切発表の機会を与えるマガジンドラゴンの創刊は今後のマガジンにどう左右するのか……なんて思っていたものだけど
例のアレの騒動があるし続刊は絶望的か…。ドラゴンカップ企画での優勝作が本誌で評判を呼べばまた別かもしれないが…。
あとは袋とじ番外編企画、結局立ち消えになっちゃったけどあれは想定以上の効果得られなかったんだろうか…?
週刊少年サンデー看板作品離脱、ギャグ不足、部数現象、……などなど、様々な危機に見舞われてどうすんだよオイッ!?な今年のサンデーだったが、
とりあえず編集部もそれをしっかり受け止めているようではあり様々な対処策は講じられていた。
…が、結局のところこの危機を打ち破るには至らず、むしろ如何にして現状を維持していくかという年になってしまっていたような気がする。
現実を直視し問題に対して真摯に取り組む分だけジャンプよりは優等生的であると思うには思うものの、
これだけ真摯に取り組んでもなお一向に光明が見えて来ないとなると最早打開不能な最悪の事態に陥っているんじゃないかとも思えてしまう…。
そして状態を上向きに出来ないまま現状維持に必死になっていたところに「ガッシュ」終了の致命傷を負ってしまうという……。
勿論対処策は練った。ゴールデンアニメ化の「結界師」のプッシュや弟子である麻生羽呂先生の新連載などがそうだろう。
後者はこれからなので何かをどうこう言うつもりはないが、……前者は…アニメ「結界師」の打ち切りはあまりにも辛すぎる…。
間違いなく低年齢読者層を支える「ガッシュ」の後釜的存在には「結界師」が白羽の矢を立てられていたはずなのに
肝心のアニメが打ち切りの憂き目に遭ってしまうというのはサンデーにとっても大きな痛手だった。どれだけの利益を見込んでいた事か…。
確かに不安定なクオリティではあったものの個人的にはアニメ独自でのキャラ作りや結界表現などに面白さを感じていたので
そういった意味でも残念。声優陣も脇役勢は名実共に素晴らしい人ばかりで名演揃いだったのになあ、脇役は。
が、一方で「ハヤテ」のアニメは大ヒット。サンデーでも事あるごとに「ハヤテ」関連の付録やグッズ情報が巻頭を飾るなど、
「結界師」をも上回る勢いでサンデーは「ハヤテ」を大プッシュ。…振り返ってみると凄かったよなあ、アレは…。
そんなこんなで期せずして「ハヤテ」もサンデーの看板入りを果たし、何とか「結界師」でコケた穴は埋められた模様。
…しかし獲得した読者層は当初の思惑とは当然違っているだろうし、これによるファン層の変化が雑誌そのものを変えまいかという懸念もある。
要するにいつかのマガジンと同じ轍を踏みやしないかと…。今のところは「ハヤテ」ヒットの後もそっちの路線は押さえている感じだが…?
また、「魔王」「DIVE!!」といった小説コミカライズの新連載もサンデーなりの打開策……というよりは苦肉の策か。
「ダレン・シャン」の成功を見ての2匹目の泥鰌であるのには違いないのだろうが、それ以上に看板「ガッシュ」終了によるダメージを
何とか原作小説のファンなどを釣る事によって最小限に抑えようなどの意図が汲み取れる。つまりは前述の“現状維持”の最たる例。
また、良くも悪くもナマモノな漫画家のオリジナル作品とは違い一定期間での終了が約束されている為、
それまでに新人を出来るだけ多く大きく成長させておく為の時間稼ぎのような意味合いを持っていそうでもある。
…と言ってもサンデー超増刊を見る限り有望な新人は十分に沢山育ってるからあとは編集部のカードの切り方次第だと思うんだけどなあ…。
また、短期連載による連載昇格が目立ったのも2007年の特徴。「ギャンブルッ」「お坊サンバ!!」「マリンハンター」ととにかく連発状態。
それが効果を生んでいるかどうかはまだ判断しかねるものの2008年もこの方針が続いていく可能性は十分にあるので注目すべき。
他にもギャグ不足を補うべく行われたギャググランプリなど成果云々は別にして様々な変化が今年のサンデーには見られたが、
一方でサンデーの最も特徴的な部分である「新連載は長い目で見つつ終わる時はスパッと終わる」という構成力重視な点については
基本的に一貫していた。そしてそれが皮肉にも「ガッシュ」終了で自らを谷底に突き落としてしまう事になるという…。
ともかく2008年のサンデーはそのどん底からのスタートになる。果たして「ガッシュ」の大きすぎる穴は埋められるのか?
「ハヤテ」プッシュはアニメ終了後どうなるのか?「LOST+BRAIN」の悪い意味での話題性を味方につける事が出来るのか?
そして2007年で台頭してきた「IFRIT」「ダレン・シャン」「お茶にごす。」などがどう活躍してくれるのか?
…ある意味どんな雑誌よりも見届ける価値はあると思う。…そういえば2008年になると「犬夜叉」も抜けそうになるんだったか…。
流石にすぐに結果を出す事は叶わないだろうしこれは長い長い戦いになる事を覚悟した方が良さそうだ…。
あと、最後にするのもなんだけどやっぱり納得いかないのが「うえき」の打ち切り。
終了直前に大プッシュの表紙&巻頭カラー&増ページというまさに「P2!」なパターンだけど過去の前例から考えて
サンデーは割と長く見積もって終了へのカウントダウンを始める傾向にあるので「P2!」のように急遽打ち切りになったとは考えづらいのだが…。
週刊少年チャンピオンさーて、遂に今年の主役のお出ましですよ。
2007年、自分の知る限り最も輝いていたのは間違いなくチャンピオンだった。
とにかく新連載が当たりに当たりまくる驚愕の1年。「ギャンブルフィッシュ」を代表格として大豊作も大豊作。
また、「ナンバMG5」「Damons」「星矢(手代木版)」「ユタ」などの中堅連載陣も脂が乗ってきておりとにかく誌面に隙が無い。
「刃牙」「ドカベン」「浦安」のいわゆる三本柱を中心にするという売れない雑誌なりの基本スタイルは崩さないままに
脇がどんどん充実してきているのが感じられる。表紙に三本柱とグラビア以外の作品を起用する事にしたのもその表れで、
編集部の意識がそういった新興の作品のプッシュへと向いたのもあるだろうけどそれ以上に三本柱による集客力を
犠牲にしてしまえるほどの作品が台頭してきた事が何よりもの財産なのだと思う。特筆すべきは「クローバー」と「ギャンブルフィッシュ」か。
「ギャンブルフィッシュ」はネット上で散々話題に上げられているのでもうここで触れるまでもないとして、
逆にネットでは割と叩かれる傾向にある「クローバー」も宣伝効果によるものなのか単行本の売り上げ自体は好調だそうで、
今年開始した作品でありながら既に2回も表紙を飾っている。月刊チャンピオンのヤンキー路線に合わせやすいのも編集部的には便利なのだろう。
ちなみに私事ながら自分の周囲に「クローバー」が好きという友人(ややヤンキー系)が2名ほどいる為、普段この作品の人気に頭を悩ませている
チャンピオン系感想サイトの方々よりはいくらか自分はこの現象を素直に飲み込めていると思います。出るとこにゃ出るんだよ人気は…。
ともかくこの2作が三本柱に次ぐ2番手的位置で今後もチャンピオンを引っ張ってくれる存在になってくれるというのは期待出来る。
また、ヤンキー路線の活発化と共にスポーツ漫画に力を入れ始めている傾向やギャグ作品の多さを利用してのギャグ祭開催など、
比較的入りやすいジャンルの作品で新規読者の開拓を図ろうとしているように感じられる一連の動向も非常に興味深い。
まあそのスポーツ漫画の中身がお嬢マジ切れ漫画だったりする厄さがまたチャンピオンらしいと言えば非常にチャンピオンらしかったが…。
ところで短期連載が好評だったら本格連載に格上げというシステムがどうも曖昧な線引きになってきてるのはどうなのだろう?
あくまで短期連載は本格連載する資格があるかどうかの入国審査だと思っていたのに、どうやらその資格があまりにもあるようであれば
入国審査の段階から本格連載への直通エレベーターが用意されるというVIP待遇を受ける事もあるようである…。
本当にその辺どうなってるんだ「イカ娘」&「フンドシ」!!あとおそらく「海高剣道部」も!!!短期って何話だよ一体!!?
しかし短期連載と言えば「卓球Dash!!」や「明日のよいち!」などの月ジャン作品との連携が見られたのも印象的。
「ペンギン娘」RED送りや松山せいじ先生&高橋てつや先生のREDいちご出張といったREDとの連携も含め、
秋田書店の自称少年誌3誌による共同戦線でどうにか盛り上げていこうという気概が見られたけど結局成果はどうなのやら…。
コアな読者には受けが良いとしてもやはり盛り上がりの質が内輪的なのであまり広い層には受け入れられなさそうなのだが…。
ともあれ批判すべき部分の多かった上記4誌とは違ってチャンピオンだけは本当に褒めるところばかりで貶すにははばかられるほど。
作品単位ではとてつもない事をやらかす雑誌ではあるけど全体として見ると非常に良い結果を残してきていると思う。
最近は黄金期再来だの何だの言われて勢いを見せるチャンピオンだが、本当に部数が跳ね上がらないかと淡い期待を抱いてしまう…。
エクストリームな1年をありがとう。来年も凶気に彩られた1年を約束してくれる事に期待する。
……ああ危ない危ない、忘れるところだった。今年……というよりは2006年辺りからのチャンピオンはアオリ(特に表紙)が凶気に彩られていた。
「Aおんな!Eおとこ!」「カモン!喜怒アイラブ!!」「1ストライク2ガール!俺たち無死満塁!!」などは最早殿堂入り級。
連載陣にも最終決戦に向けて白熱する漫画に「そんなの関係ねぇ!!」とアオるなどとにかくエクストリームだった。イヤッホー!
月刊少年ガンガン……いや、流石にこの雑誌は振り返らない方が良いんじゃないだろうか…?
ガンガンの2007年は言わば踏み台。2008年に大きく飛躍する為の下準備を黙々と進めていた年に過ぎないのだ。
なので2007年だけで今年はどうだったとかそんなのを言うには時期尚早な気がしてしまう。この年の価値を決めるのは2008年以降である。
しかし2008年に賭けるガンガンの意気込みは凄い。「鋼の錬金術師」の後釜として看板を任せるべく
「ソウルイーター」を1年シリーズ(未確定情報)でアニメ化させ、そのアニメで流れて来た一見読者を定着させる為に年明けから新連載を連発。
新しい作品の多い雑誌と古い作品が犇いている雑誌とでは明らかにとっつきやすさが違うのでこの戦略自体は至極正しいと思う。
…けどその為にこの時期に終了した作品、及び犠牲になった作品の数も計り知れないという非常に極端な戦略でもある。
なのでその犠牲を無駄にしない為にも、そしてガンガンがマジで廃刊になっちゃわない為にももう負けられない!!
「ソウルイーター」アニメ化にしろ新人作家重用による誌面大改革にしろ何としてでも成功させねば最早完全に再生の道は断たれてしまう!!!
ある意味これがガンガンにとってのラストチャンスになってしまう可能性すら有り得るだろう。
かつての栄光は再び取り戻せるのか!?不死鳥の如き復活は成し遂げられるのか!?さあどうなるスクウェアフェニックス!!?
…あと、意外とこの新連載大攻勢に組み込まれちゃっていたりするのがご存知僕らの「マテリアル・パズル」。
「清杉」が“ろ”で復活したりとアニメ「BAMBOO BLADE」のヒットから土塚先生のプッシュ体勢に入っているようにも見えるし、
やっぱり新しく入ってくる読者にとっても長期連載作品で話の流れを把握出来る作品があると居心地が良くなるもの。
…で、その役割を「マテパ」が負う事になると。第4部開始によりキリの良いところから読めるようになり
話の流れを汲み取りやすくなる効果をガンガンは最大限活かすつもりらしい。流石にあざといぜスクエニ!!
月刊アフタヌーンガンガンは振り返らない方が良いという雑誌だったが、アフタヌーンは……ふ、振り返れねぇー!!
…というわけで敗北宣言です、はい。…いや、この雑誌の場合一貫した流れのようなものが完全に見えて来ないし
見えたとしても急にそれが向きを変えるという恐ろしい不安定さによって成り立っている雑誌だからどう総括しようもない…。
ただでさえ月刊誌でこちらが掬い取れる分量が少ないというのにこのカオス雑誌の1年間をどう形容しろと言うのだ…。
そもそも他誌ならば見えて来るはずの方向性などといったものが皆無に等しいので非常にその実態を掴み辛いのが問題。
…なのにそれがプラスに働くというか、心地良くなってくるのがこの雑誌だからなあ…。スクエアのカオスもこの域にまで達してくれれば良いが。
とりあえず見て取れる大きな流れとして今年はアニメ化などのメディアミックスに非常に力を入れた年だったという印象がある。
「くじアン」や「大江戸ロケット」の存在もそうだし、現行連載陣からは「おお振り」「しおんの王」「もっけ」などが続々アニメ化し、
終了作品からも「げんしけん」や「逮捕しちゃうぞ」の2期がそれぞれアニメ化。基本的にはどれもそこそこの成果は収められているようだった。
しかしそんな中やはり「おお振り」だけはクオリティも興行収入も飛び抜けていたというか、もう何もかもが圧倒的だった。
特に漫画原作アニメで良作の多い今年のアニメ界に於いても埋もれる事無く輝き続けているのは凄い。
何だかんだでゲームにもなったけど、「くじアン」といい「蟲師」といい最近のアフタはゲーム化も盛んだがそっちはどうなってるんだろう?
また、表紙のプチ連載「本当はかっこいいカラスヤサトシ」や背表紙ジャック連載「1と4の間」のように
カオスが1000Pだけでは収まりきらなくなったようで店頭で目に付くところにも頭の悪さが溢れてきているのも今年の特徴。
前者はともかくとして後者はタイトルからも4ヶ月限定の背表紙ジャックかと思われたんだけども、遂に連載1周年を記念しそうな勢いだ…。
ファンサービスにはなっているし歪な形ながら興味を引けるとは思うので某誌の某企画ほど悲観的に捉えてはいないが、
それでもやはり背表紙でのアピールはもっと効果的なものにしてもらいたいところだ。アフタなんて平積みされにくいんだから特に。
2008年は奇しくもガンガン同様に大量の新連載からスタート。しかしこっちは連載経験作家を重視したラインナップ。
2005〜2006年に比べれば新連載の数を抑えていた感のある2007年だったが、どうやらまた量産体勢に入りそうである。…良い事なの…かな?
…とりあえずはこんなところかな。では最後にまとめを。
こうして振り返ってみると2007年どの雑誌も様々な思惑があり、また2008年のスタートも千差万別。
ジャンプは過去に類を見ないほど誌面が停滞したどん詰まりの状態から、
マガジンは2006年組以降なかなか出て来ない後続のヒット作の用意から、
サンデーは看板の終了による被害を最低限に食い止めねばならない極限の危機から、
チャンピオンは他の少年誌とは対照的に数多くの作品が軌道に乗る驚異的バブルから、
ガンガンは本気で雑誌生命を賭けた勝負という背水の陣から、
スクエアは今からがまさにその本領を試されるという正念場から、
アフタヌーンは……まあいつも通りのマイペースから、
どういう境遇に置かれているにせよそれぞれやはり本気なのは間違いないし、傍から眺める分には楽しさすら感じる。
…が、同時に各誌の愛読者としては危機感の方が強いものであり、何とか2008年は明るい年にしてもらいたいもの。
中でも特に大きな転機を迎えるのがサンデー・ガンガン・スクエアの3誌か。…大変だろうなあ、本当に…。
しかし良くも悪くもこういった全体の戦略性を比較して楽しめるのも漫画雑誌という媒体の強味。
そして比較するまでも無く単体でも雑誌全体の空気にどの作品がどう合わせているかなどが読み取れたりと、やはり漫画雑誌は楽しい。
漫画雑誌の衰退が叫ばれている今でも、自分は決して漫画雑誌の魅力まで衰退しているとは思わない。
勿論この漫画雑誌観は自分の主観そのものなのでこれに普遍性があるなどとは微塵も考えてはいない。
しかし自分がこう考える以上、今年の漫画雑誌最大の出来事であろうスクエアのヒットは
漫画雑誌の魅力を考える上では業界に影を落とす出来事であると思え、また同時にこれは新しい漫画雑誌の可能性ではないかとも思える。
スクエアには上の漫画雑誌の魅力についての記述で後者に挙げた“雑誌全体の空気”が無いようなものなので
雑誌全体でその作品がどういった動きを見せているか――といった楽しみ方が全く出来ない。
言うなれば「ToLOVEる」なんてのはエロに大人しいジャンプ漫画達の中で1人無茶をやらかすから輝けたようなもので、
そういった『この雑誌だからこそこの作品が活きた』というような漫画雑誌ならではのヒットの流れがスクエアでは生まれにくい。
言わばスクエアは「作品を活かさない雑誌」である。つまりは漫画雑誌としての魅力を捨てたと言っても良い。
…が、同時にこれは「作品を埋もれさせない雑誌」であるとも言える。先の「ToLOVEる」の例は他作品を巧妙に利用したが故の成功であり、
即ちこれには利用される他作品の存在、雑誌の空気に浸かり目立てなくなってしまった作品が不可欠である。
勿論互いに利用し合い個性をアピールするのが雑誌としては理想の形なのだが、スクエアの場合はこれが無い。
作品同士が強調し合わない分、より純粋に力を持った作品が目立てるというメリットが存在する。
そして大宣伝の結果ではあるが、第2号も増刷したところを見るとそれは少なからず受け入れられた。
また、この快進撃が今後も続いてしまえばどうだろう?それは一種の革命とも呼べるのではないか?
雑誌の空気をどう活かすかが雑誌作りの大きなポイントだった従来の漫画雑誌の観念を大きく変えてしまうのではないだろうか?
ましてや今は単行本が売れる時代。個々の作品に個性を見出せれば良い時代。…そんな時代にベストマッチした方針なのではなかろうか?
…まあそれならアフタヌーンがもっと世間一般的に人気を得ていても良いだろうと思いはするのだが、
宣伝力の違いは明白なのでスクエアとアフタヌーンを比較対象にするのもお門違いではあるか。
そもそもアフタヌーンにだってほとんどカオスに近いながらもそのカオスが雑誌の空気になっているわけだし…。
ともかく以上のような理由でもしかしたらスクエアは意外にも時代に合った革命的な雑誌と言えるかもしれない。
…しかし前述したように主観的ながらもの漫画雑誌の魅力を愛す者としてはこう叫びたい。そんなのは雑誌の意味が無い!!!…と。
だってそうだろう。全体的な空気も無い雑誌なんて単行本の切り抜きを寄せ集めて綴っただけの紙束と同じじゃないか。
確かに漫画雑誌も黎明期は単なる寄せ集めだったのかもしれない。しかし今は違う。長い歴史が培ったノウハウが雑誌に空気を作った。
しかしスクエアはそれを否定しているのだ。空気など要らないと。面白い作品の集合体であればそれで良いと。
…そんなものを、自分は漫画雑誌と呼びたくはない。その雑誌の空気はその雑誌の魅力である。逆に言えば空気の無い雑誌に魅力は無いのだ。
そういう意味で自分はこの現象を危惧する。もし時代がスクエアに追随してしまったら?漫画雑誌が空気を、魅力を捨ててしまったら?…と。
おそらくそうなってしまったら単に自分が時代に取り残されるだけなのだろう。
自分にとっての漫画雑誌は終わる、しかし形として漫画雑誌は残っていく、ただそれだけ。…けど嫌だよ、そんなのは。
だがこう考える事も出来る。それもこれも既存の漫画雑誌が揮わないからこそこうなったもので、
スクエアはそんな時代に警鐘を鳴らしに来たのであると。お前らが駄目なままだと俺が漫画界なんか乗っ取っちゃうぜと。
そういう意味で漫画雑誌の魅力について再認識出来た事、そして今の現状に危機感を抱けたのはスクエアの存在によるものが大きいかもしれない。
言葉を変えて繰り返すが、思いっきり主観で言わせてもらえば自分はスクエアを歓迎しない。というか出来ない。
しかしだからこそ、自分は既存の漫画雑誌を、自分が購読していない雑誌も含めて応援していきたいと心から思う。
…何か最後の最後にスクエアを批判するどころか否定しまくって終わるというのもどうかと思うが、
自分なりに何故漫画雑誌が好きかという事を考えるとどうしてもスクエアの存在を排斥せざるを得なくなってしまったので…。
創刊したての雑誌なのだしこれから空気を作るのかもしれないけどやはり今の方針を見る限り絶望的だと思う。
そもそも今から空気作りって明らかに順序間違ってるしね。家はまず土台から作るものなのですよ。
雑誌単位、そして業界単位で2007年を振り返ったところで次は作品単位で振り返ります。
色んな漫画系サイトがやってるようにお馴染みのランキング形式で振り返っちゃおうかなーと。
では以上で2007年を振り返る記事……に見せかけたスクエア批判記事終了です。…あ、あれれぇ…?
…いや、当初の予定ではこうなるはずじゃなかったんだけどなあ…。お陰で長くなるし、何か角が立ちそうで怖いし…。
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